Mergers and Acquisitions update August 2019

12 September 2019. Published by Nigel Collins, Partner, Head of Japan Desk

当法律事務所の紛争解決部門の同僚が、最近のある判例につい-C興味深い考察を記し-Cいる https://www.rpclegal.com/perspectives/commercial-disputes/clarity-clarity-clarity-more-contract-drafting-lessons-from-the-court/。これを読むと、不要になった契約を打ち切る方法を常に考え-Cおくことの重要性があらため-C分かる。

■争いの背景

豪投資銀行マッコーリー(Macquarie)·グループ傘下のマッコーリー·キャピタルの欧州部門は、風力タービンを手掛ける独ウィントライヒ(Windreich)·グル ープの子会社ノルトゼー(Nordsee)·オフショアMEG1(NOMEG)から、 独領北海に風力発電所を建設する計画の資金調達を任された。2013年に結ばれた契約では、風力発電所を開発する「プロジェクト」の資金調達が「取引」とみなされていた。同契約によるとNOMEGは、同取引完了の12カ月以上前に契約が打ち切られていない限り、取引が完了すれば、マッコーリーが資金を調達したか否かにかかわらず同社に完了報酬と融資アドバイザリー報酬を支払うことになっ て いた。

の風力発電所開発を巡っては数々の問題が発生し、資金調達の時期や構造、使用する風力タービンやサプライヤーといった開発自体の詳細など、さまざまな面に変更が生じた。しかし、同契約が打ち切られることはなかった。資金調達プロセスは2016年に完了し、マッコーリーは最終的な開発や資金調達プロセスにはほとんど寄与しなかったにもかかわらず、同契約に基づく報酬の支払いを請求。N OMEGは一切の支払いを拒否した。

■両者の主張

当事者間の最大の争点は、風力発電所の開発と、それにかかわる最終的な資金調達が、同契約に規定された「取引」の定義に該当するかどうかだった。
NOMEGは、同契約における「プロジェクト」と「取引」の定義は狭義に解釈されるべきであり、2016年8月の資金調達完了は「取引」の範囲には含まれないと主張。同社はその根拠として、風力発電所の開発と資金調達構造にはいずれも大幅な変更が加えられたため、もはや「プロジェクト」の定義には当てはまらないと訴えた。

これに対しマッコーリーは、風力発電所の開発に加えられた変更は、同契約の締結時に両当事者が想定した範囲を超えるものではなく、風力発電所の開発とそれに関わる最終的な資金調達は、依然として「取引」の範ちゅうに収まると訴えた。

■英高等法院の判決

英高等法院は、契約締結時には資金調達の時期や構造のほか、資本·組織構造、 風力発電所の開発自体を巡る柔軟性があったと見なした。これは、契約締結時には意図する開発のさまざまな面が「厳格に規定」されておらず、「大幅な変更の可能性があった」とするマッコーリーの見解に沿うものだった。

またこの場合、商慣習的な常識からも、同契約はマッコーリーに報酬の権利を認める形で解釈されがちだった。そうでなければ、マッコーリーはもっと確実に報酬の権利を認められるような形でアドバイザリー業務を行うよう促されたかもしれないと、英高等法院は指摘している。

こうした理由から、英高等法院は、同契約の用語についてはマッコーリーの主張した広義の解釈が正しいと見なした。この結果、NOMEGはマッコーリーに報酬1,600万ユーロと金利を支払う義務があるとの判決が下された。

NOMEGがもっと早く同契約を打ち切っていれば、マッコーリーへの支払いを回避できたかもしれない。契約書の文面ももっと明確にするべきだっただろう。 契約の解釈を巡っては、既にさまざまな原則が確立しているが、個別のケースへの適用には依然として落とし穴が潜む。特に、用語の定義に柔軟さがある場合にはそうだ。したがって、当事者企業は契約書の文面の明確化に努める一方で、契約がもはや不要になったときにそれを打ち切る選択肢もきちんと検討しておく必要がある。

7~8月の注目すべき取引を以下に挙げる。

  • ●住友商事は、デジタル駐車事業を手掛ける英スタートアップ企業アッピーパー キング(Appyparking)の資金調達ラウンドに参加した。アジアで進めるスマー トシティー·プロジェクトや、北欧諸国での駐車場事業の延長線上にある適切な投資だ。
  • ●スイスでは、ソフトバンクグループとサウジアラビアの公共投資基金(PI F)が主導するソフトバンク·ビジョン·ファンド(SBVF)が、再生可能エネルギー貯蔵ソリューションを提供する新興企業エナジー·ボールトの資金調達ラウンドで1億1,000万ドルを出資した。同社の技術を利用すれば、貯蔵コストは化石燃料を使用するよりも低く抑えられるという。
  • ●NECは、ノルウェーのバイオ技術企業オンコイミュニティを買収した。同社は、独自の機械学習を応用してがん免疫療法を支援するソフトウエアソリュー ションの開発を手掛ける。

私生活面では、アムステルダムに週末旅行に出かけ、巨匠ゴッホと人気覆面アー ティスト、バンクシーの対照的な展覧会を見てきた。素晴らしい芸術と文化、美しい公園、そしておいしいコーヒーとジャズが楽しめるアムステルダムは、私が最も好きな欧州の都市の一つだ。仕事に復帰した今は、テクノロジー関連の買収プロジェクトや、合弁事業、事業再編などの案件に取り組んでいる。

 

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